2022.01.12BLOG
外国人か判断がつかない場合
中途採用において日本人だと判断したが、実は外国人だった。
日系ブラジル人で日本語が堪能な場合など、顔立ちも見分けがつかないため、企業の人事担当者も外国人だと思わずに、採用しているケースがあります。
厚生労働省が告示している外国人の雇用管理指針では「通称として日本名を用いており、かつ、日本語が堪能な者など、通常の注意力をもっては、当該者が外国人と判断出来ない場合にまで、確認を求めるものではないこと。」として、労働者のプライバシーに配慮しています。
ですが、不法就労助長罪では当該外国人が不法就労だと知らなかったとしても、確認に「過失」があれば法違反に問われます。
仮にプライバシーに配慮したとしても、在留資格の確認を怠った事実がある以上、法違反のリスクは免れないため、本人の同意のもとセンシティブな情報を出してもらい、外国人の有無を把握する必要があるでしょう。
弊所では以前、社会保険の手続で日本人と聞いていたが、申請後に年金事務所から「ローマ字氏名届」の提出を求められたことで、初めて外国人だと分かり、慌てて会社から在留資格の写しを徴求してもらったケースがありました。
しかし、今はマイナンバー記載の連携で「ローマ字氏名届」が不要となったため、年金事務所の手続において外国人と判別することが出来なくなりました。
しかしながら、雇用保険の資格取得時に外国人雇用状況届の関係で、在留資格欄の記入漏れを指摘されることがあり、この指摘がされる場合は外国人の可能性が非常に高いため、把握漏れを防ぐ貴重な機会となっています。
長期間日本で生活し日本に馴染んだ外国人であっても、失踪や犯罪歴などで在留資格の更新がされず不法就労となっているケースもあります。
不法就労助長罪は刑事罰に問われ、技能実習取消など不利益が大きいため、採用時の国籍と在留資格の確認は重要な法的リスク対策になっています。