外国人技能実習生の解雇

 新型コロナウィルスの収束が見えない状況で、苦渋の決断として技能実習生の解雇を検討する企業があるかと思います。

 外国人技能実習生の解雇について、詳しい法律知識、特に外国人雇用に関する知識をほとんど有していない会社は誰に相談していいのか分からず、ネットを検索しているでしょう。

 

 まず、外国人技能実習生を解雇しようとする時は、必ず事前に技能実習監理団体に相談して下さい。

なぜなら、技能実習法では技能実習生の管理を監理団体が行う法的構成になっていることから考えると、監理団体と協議を行わず解雇した場合に、私見ですが労働組合との協議を行わずに実施した解雇は無効という労働判例を準用される可能性があるからです。

 

 また、現状では外国人技能実習生が本国に帰国しようとしても、航空便の休止により帰国便がないため安全に帰国させられる人道上の問題を生じます。

入管もこの状況は憂慮しており、安易に解雇したとしても本国へ帰るまでは、監理団体が必要な保護を行う費用を負担しなければならず、帰国理由が解雇であれば、その原因となった会社側も費用負担の責任は存在するでしょう。

 

 ところで外国人技能実習生は制度上は1年から最大5年の有期間の労働契約となっており、これを中途で解雇できるか否かは、厚生労働省は以下の見解を出しています。

「有期契約労働者の解雇について、使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間は、労働者を解雇することができないこととされています。(労働契約法第17条第1項)。」

 

 有期労働契約における「やむを得ない事由」というのは要求水準が高く、分かりやすくいえば、1年(2号実習は2年)という雇用期間を約束したが、その約束を反故にするほどの重大な事由です。

 以前に技能実習法違反で採用出来なくなった会社が、技能実習生全員の残り期間の給与を全て支払ったうえで解雇したのは、「やむを得ない事由」と有期労働契約の解雇で争った場合は敗訴の可能性が高く、敗訴となれば残った契約期間の賃金の補償義務があると判断していたと考えています。

 

 今回のような新型コロナウィルスによる景況悪化の早期段階での解雇が「やむを得ない事由」と判断されるかは微妙です。

 最低限、技能実習生の契約期間中途での解雇は、パートやアルバイトと同レベルには考えないことと、解雇以後の残った期間の賃金補償義務はあること、帰国に関する費用が掛かることは考慮して、それでも解雇を検討するときは監理団体と協議が必要でしょう。

 

2020年04月26日