特定技能が進まない訳

先般、ご依頼のお客様で、採用する外国人材の在留資格を特定技能か特定活動で申請するか悩まれている方がおられました。

 

特定技能で申請する場合は、申請書類のボリュームが多く労務管理における審査も厳しいため、行政書士に依頼する報酬も通常の在留資格申請の2~3倍になりますが、実際の申請の手間を考えれば、知識の無い方が申請するのはほぼ不可能に近く、これでも妥当な報酬と言えるでしょう。

 

ところが特定技能は「転職」が認められており、転職の申請は最初の申請より簡便なため、せっかく高い報酬と手間暇を掛けて採用した特定技能外国人が転職されると、受け入れ企業側に大きな損失となります。

 

外国人材への過酷な待遇が過去に問題となりましたが、もし退職する外国人を脅迫などにより無理やり引き止めて就労させれば、労働基準法で最も重い罰則である5条違反となるので転職を抑止するのは不可能です。

もし、そのようなことが明るみになれば、監督署から起訴され刑事罰に問われますので、欠格事由により5年間は特定技能を受け入れられません。

(その前に5条違反は懲役刑もある重罰ですので経営者は大変なことになります)

 

また、技能実習2号修了者からの特定技能でも、技能自習の申請時に偽造履歴書を出していたケースも少なくないらしく、特定技能の申請時に履歴書の食い違いを指摘され不許可となっているケースもあるようです。

 

特定技能は技能実習より給与水準が高いため、申請時のコストと在職中の維持コストを考えると、今のところ技能実習よりメリットが少ないと見られています。

しかし、今後は特定技能の考え方が技能実習にも波及するため、将来的に特定技能の申請要件が緩和されれば、国際的に問題となっている技能実習は、労務管理の審査が厳格な特定技能に吸収されると予想しています。

 

 

2019年12月03日